gohira house / 五平柱の住宅
新建築住宅特集 2020年9月号 掲載、JAPAN WOOD DESIGN AWARD2020 受賞 photo│jumpei suzuki
五平柱の住宅
木造2階建て│敷地面積:136.16㎡│建築面積:69.61㎡│延床面積:103.39㎡
計画地は高度成長期に区画の広い住宅地として整備され、宅地レベルは道路から1~2mほど高い。そこに相続による土地の細分化で南北に細長い3面接道という街区のエッジに少し浮いたような不思議な土地が生まれた。周辺はゆとりのある道路幅が多く、各住宅がおおらかに建てられているこの場所に南に広い庭を設けて建物高さを大きくすることに抵抗のあった私たちは、小さい主屋に大きな寄棟の下屋を掛け、軒先の3辺を低く抑える断面形状を選んだ。あたかも大きな住宅の一部が残ったような形である。 住まい手は子育てを終えた夫婦で、近くに住む親族の訪問も多く、そうした点でも間取りの大らかさが欲しかった。2階の南北に夫婦それぞれのスペースを対称に配し、1階の大きな下屋の矩勾配の屋根と方杖が明快な幾何学を形成し、緩やかに場を繋いでいる。大らかで壁の少ないワンルーム空間は五平(ごひら)と呼ばれる扁平の柱が短手方向に踏ん張ることで成立している。完全な個室になりきらない夫婦のスペースは、趣味に没頭する夫婦の個の時間を、個室という孤島に切り離すのではなく、住まいの連なりの一部とすることで、緩やかな関係を築いていけたらと願う。