brass house / 染井・ブラスハウス
photo│ yasuhiro nakayama, jumpei suzuki
染井・ブラスハウス
木造3階建て│敷地面積:91.87㎡│建築面積:52.42㎡│延床面積:111.64㎡
ソメイヨシノの発祥地として知られる東京都・駒込の染井という地域に建つ住宅である。周辺には寺社が多く、街並みは大正時代から昭和初期当時の狭い道路形態のまま住宅地となっている為、近隣は住居が密集した地域となっている。建主は開放的でおおらかな空間の魅力に傾倒しつつも、日常の空間は閉じていることを望んだ。開放的に閉じたいという感覚を、どう実現できるかが課題であった。
計画地の前面は宗教施設の施設内道路が続き、北側は集合住宅の屋外通路があることで視線の路地とでも言えそうな抜けが存在していた。南側の間口に対して奥行きの深い敷地は、北側がどうしても暗くなってしまう為、道路面に対して開放的な抜けとなる空間と閉鎖的な室となる空間を並列させる構成を考えた。家型の半分を外部と繋がる階段空間として立面につくっているが、実際には敷地の奥にいくにしたがって外壁面がすぼまっているので、延べ床面積の割合は1/4程度である。開放的な階段室を作るもうひとつの操作として、厚み150mmのCLTを2枚用いて薄い屋根と開放的な軒下空間を実現している。周囲の抜けの一部に生活の動線が組み込まれ、光も風も住居を抜けていく。シルバーの仕上げは光の拡散を狙い、真鍮のマテリアルを引き立たせる。1階ホールは階段空間とは逆に敷地奥に行くほど幅が広がっていく。天井高4.7mのホールは、地下に埋まった窟のように、階段室から見下ろされる関係となり、境界に設えたテキスタイルが反射した光を映り出す。一方、3階の寝室は巣(nest)的な空間とし、性格の違う室を上下に重ね、階段室に並列させた。